はしごの先へ/凍湖(とおこ)
 
まひる、白い、アスファルトのうえ
くるくるまわり、昇っていくむしの群れ。
らせんを描き、そらへはしごをかけていく。
きっと遥かな静寂に届くまで(たとえば、海王星の近く、とか)。

暢気に渦巻く、黒いてんてん。
これは、わたし。そして、あなた。
それから、先に昇っていった祖先たち。

とおくへ、とおくへ、往き
いつの間にか、もとの流れへ、収斂していく。
ひそやかにながれる、ゆるい合奏。

産声をあげたときにはじまる、つむじからのおんがく。
わたしのパートは、終わるときに届くだろう。
きっと、はしごの先へ。それから、はじまりへ。
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