塩/草野春心
 


  かなしみに塩をふる
  ほんのひとつまみ



  朝の光を浴びるとき
  雨に濡れたいくつもの言葉が
  「うれしい」という言葉に変わる
  あなたのえくぼが深くなるとき
  私の心は風を受けた木の葉のように揺れる



  海の果て
  どこか遠いところで大地が割れ
  なにもかもが壊されても
  そんなにたいしたことじゃない
  ほんのひとつまみ
  新しい塩をふる
  あなたの胸に隠された
  色とりどりのやさしい言葉に



  
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