やさしい世界/まーつん
かに、鏡に映る男の顔は、幸せな人間のそれではない。この顔をもっと和やかな表情で飾り、微笑みをウィンカーのように明滅させて、より広く、より刺激と奥行きのある、新しい人間関係の中をドライブするというような生き方も、あるいはできるのかもしれない。
その気になれば、゛幸せ゛だとされている生き方を選択することが、この僕にさえ出来るのかもしれない。
じゃあ、生き方のハンドルを切って、そんな道に入ってみるとするか…? ごつごつと石ころばかり転がる、舗装もされていないような、寂しい山道ばかり選ぶのはやめて…。もっと人通りがあり、開けていて、居並ぶ白亜の建物の窓から、人々が手に手に友情の旗を振り、七色の
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