父/永乃ゆち
 



私は父親の顔を知らない。

けれど私の顔は、父親にそっくりだと
ある日酷く私を殴った後、母が吐き捨てるように言った。

腫れて赤くなった頬を氷で冷やしながら
私は鏡を覗いていた。



(お父さんの眉は、こんなふうに真っ直ぐなんじゃろうか)

(お父さんの目は、こんなふうに二重なんじゃろうか)

(お父さんの鼻は、こんなふうに丸いんじゃろうか)

(お父さんの口は、こんなふうに小さいんじゃろうか)


会った事がないのだから、懐かしさを感じることもなく
ただぼんやりと、自分に似た大人の男の人がいる、と思っただけだった。



母はたまに父
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