Echo Wreck/木立 悟
何処へ行ったのでしょうか
何処へも行ってはいません
すぐ近くで
月を塗りつづけています
難破船が ひとつひとつ
鏡になっていきます
それを見ようと
真昼も午後も立ち止まります
逃れられず
逃れていきます
夜の目を洗う
夜のように
どこまで話したのか忘れ
ふと空を見ると
空はもう空ではなく
話すことのできない何かでした
海を巡り
巡るたびに誤まり
かたちは皆 砂の上に置かれ
いつのまにか消えてゆくのでした
沈むものは
沈むものを呼びつづけ
波は今日も
星と鏡を呑むのでした
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