呪いの朝/ホロウ・シカエルボク
薄汚れた路地を歩いていた、時間は判らず、空は明方のような薄暗さをもう数時間は保っているように思えた、それはフィルムのように誰かの手が届く中空に張り付けられてるのかもしれない、でもいったい何に?そんなこと知る由もなかった、路地は、街に漂うあらゆる夜がすえたような臭いが染み付いてた、俺は顔をしかめながらなだらかな上り坂を歩いた、幾つもの緩いカーブが左右にうねり、そのたびに少しだけ方角の見当が失われた、いつからそうして歩いているのだろう、足の裏には皮膚の内側に異物が紛れ込んだかのような痛みがあり、膝は疲弊していて、なにかの拍子にすっぽりと関節が抜けてしまうのではないかと思うほどに心許なかった、身
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