疲れたときには/葉leaf
 
らどんな街にでも行ける。

言葉など何も要らない。ロジックはなおさら不要だ。意識なんて大層なものも消え去ってしまう。つつじの葉に触れよう、桜の香を嗅ごう。言葉で区切られていない世界はとても滑らかで全てがつながり合って溶け合っている。そのつながりと溶け合いの中に君は入る。もはや君はいない。ただ移ろいゆく光と影があるだけだ。そう、もう君はいないのだ。

いない君はふんわりと歌を歌う。ただの短い叫びかもしれないがそれこそが本当の歌だ。いない君はゆっくりと走り出す。たった二三歩かもしれないがそれこそが本当の疾走だ。いない君はそうして涙を流す。とめどのない涙だがそれこそが本当の喜びだ。ああ、君は本当に人間になったね。そして本当に人間でなくなったね。

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