わななく魚/
 
欲すれど求めず、
日々そこに泳ぐだけでも、
くねりぐにゃりぬめり
何かが水に反射して歪められていく

「愛している」
純粋な言葉のつもりが、
ぐにゃりと腰を曲げ、
臀部から足にかけて水面に揺らぎ、
アワヨクバ
飛び出さんとしているのは、
全然、最初とは違う、
湧き出てくるウロコの幼獣

求めてはいない、
撫でて欲しいと願うだけ
人差し指でこの胸を
撫ででくれないか、そして
滴り落ちる貴方というものに、
覆われたい
同一になりたい

いや違う、
やはり歪められていく

くねりぐにゃりぬめり


「愛している」
私は貴方を愛している
求めてはいないのだ。
ただ身にまとう水滴のひとつが
貴方の滴であれ、と願うだけ
アワヨクバ、
そう思う自分を抑えて、
この躯はわなないている
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