睫毛/中村 くらげ
 
睫毛の触れる距離

吐息の生温さを頬で感じても

あなたの真意は解らない


愛という影を作らぬものの

答えを求めようと

弄るように寄り添おうとも



熱の篭った毛布の中

まだ冷えたままの爪先

汗を滑らせる首筋をなぞり

微かな泡の薫りに酔うとき

気付く


確かなものなど

今ここに無いとしても

私の目は確かに

愛を見ている


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