三宝柑と唐辛子/灰泥軽茶
街道を歩いていると
簡素な無人野菜販売所が
所々にある
鮮やかで不格好な食物たち
私は頭がひょこっとでた三宝柑と
真っ赤な唐辛子を買う
路地を曲がるとワゴンから小さな女の子が
飛び出してきて
私の近くにいるお姉さんに向かって
親族だろうか
こんにちわ〜○○ちゃん〜○○ちゃんいると呼びかけ
とても嬉しそうに駆け寄って通り過ぎていく
あいさつはとても気持ちの良い響きで
私は歩きながら三宝柑を剥きながら口に含み
えらく皮が厚く種ばかりの房から汁を吸いこみ
偶然の出会いに笑みを浮かべながら
街道を歩いていく
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