ひかり ふたつ ?/木立 悟
 




夜の晴れ間
縦の帰路
こだまはひとり
双子を娶る


夜から夜へ
たむけられた雪
星を呼ぶ声
斜面を照らす


銀の庭
何もいない庭
光の指をなぞる指
目覚めかけた葉の冠の上


ゆらぎはゆらぎ
空おおう糸
青はむらさき
さらにさらに白


片目の行方
譜に書いてなお
双子の心
空と水の径


記憶ではない記憶をたどり
水に沈んだ村を歩き
会えないままに
声を鳴らす


響きは失くなり
さらに失くなる
背を向けたまま
泣くものを抱く


遠いのだろう
着くころにはもう
無いのだろう
だがそれでも 向かうのだろう


夢の前に 現の前に
こたえはふたつ 欠けては揺らぎ
常に常に 選べるように
常に常に 遊べるように





























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