ブリキの森と紙の古城とウルサい湖畔の魔法/木屋 亞万
 
 月夜の晩に森に迷い込んだ。ブリキでできた木の幹と葉っぱの上を、糸状に光が跳ねていくので、歩くだけで遊んでいる気分になった。
 月のかけらを吊るした糸を、ぶら下げながら歩く男の子と出会った。騒がしく音がする方へ進めば湖があり、音に背を向けて歩けば紙の古城に着くと言う。
 城が紙でできているというので、雨が降っても大丈夫なのかと心配したが、彼は雨について知らないようで、水が降ることだと教えたら、降るのは光だけだと笑った。
 太陽が上から落ちてきて、月を跳ね飛ばして夜が終わった。城へと歩いていく途中、大きなブリキの塔があり、傍には深い井戸があった。塔はブリキの木の幹と土でできており、井戸は木の葉
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