嘆願/瑠依
知らぬが仏とはよく言ったもので
仏様には似ても似つかぬわたくしは
やれ 醜くも渋面を晒して
それでも 知らぬふり、
存じぬふりを 通しております
此の世の理は存じておりません
貴方の名前も知りませぬ
だからといっては 何ですが、
わたくしめのことも そうしてください
麗しいひとをみかけました
汚泥に塗れて歩きました
足の豆が潰れました
醜くも懸命に生きております
羞恥心も所持しております
どうか
どうか
仏様
知らぬ 存ぜぬ
そうおっしゃられることを
唯只管に 望んでいるのです
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