嘆願/瑠依
 
知らぬが仏とはよく言ったもので
仏様には似ても似つかぬわたくしは
やれ 醜くも渋面を晒して
それでも 知らぬふり、
存じぬふりを 通しております

此の世の理は存じておりません
貴方の名前も知りませぬ
だからといっては 何ですが、
わたくしめのことも そうしてください

麗しいひとをみかけました
汚泥に塗れて歩きました
足の豆が潰れました

醜くも懸命に生きております
羞恥心も所持しております

どうか
どうか
仏様

知らぬ 存ぜぬ
そうおっしゃられることを
唯只管に 望んでいるのです
戻る   Point(1)