座布団/
草野春心
縁側に置かれた
座布団にひなたと
猫のにおいが残っている
どこかで水が流れているのに
影も形も消えてしまったみたいだ
風に運ばれ
気まぐれな香りを転がす
弱く染まった冬の木の葉と
あなたを思うこの心はやがて
ほとんど見わけがつかなくなる
冬の陽差しが
少しだけ、春に向けて傾く
今日の日をあなたと確かに過ごした
本当さ
本当だろう?
溺れそうに深く苦しい
光の滴が残っている
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