氷点/千波 一也
白いひかりの内側で
やさしくもつれ合うものを
聴いていたかったのに
ただ、聴いていたかったのに
生きていてもいいですか、と問うよりも
生きていなくてはいけませんか、と問うほうが
おそろしく鋭い
かねてより
足音を待つのが好きでした
おのれの行方はさておき
気ままに彩色するのが
好きでした
白いひかりが一直線に磨耗してゆく
あれはもう、内でも外でもない
形、と呼ばれるためだけの
疲弊
わたしのからだは
あらゆる支えを軋ませながら
いつしかその頼りなさが頼りになって
やわらかに恵まれてきたけれど
悲しい結び目は必ずあらわれる
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