筏/
草野春心
筏を組み上げて
稲穂の海へと浮かべる
あなたの両眼にはいつも
息をのむほど静かな炎が灯っている
風が吹いて黄金の波が揺れる
考えていたことを忘れてしまう
思っていたことが消えてしまう
丸太が湿った匂いを放つ
筏に僕は腰を下ろして
あなたのうたう歌が飛沫をあげて
水底に落ちてゆくのを見つめている
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