コブラツイストガール/カンチェルスキス
づけないから悲しいのだ
臭いと指摘される人を持たないから悲しいのだ
部屋まで続く狭い階段だった
繰り抜いたリンゴの芯みたいな細くて狭い階段だった
郵便入れにあふれかえるデリバリ嬢やエロビデオの通販のチラシに目を落としながらのぼった
多くの時間を過ごした部屋で
新聞紙や雑誌の山
ゴミ袋からあふれたビールの空き缶が玄関に何袋も山積みになってた
デミグラスソースの缶もあった
ビーフシチューが得意料理だった
ガスコンロにこびりついた海に重油をぶちまけたみたいな油汚れ
こすっても消えない流しの赤錆
爪でこそげ取ると跡がそのまま残るほど
埃に埋もれたような電
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