Please Mr. Postman/山田せばすちゃん
 
料金が足りませんからと
窓口の向こうの若い局員は不機嫌そうな顔で
茶筒みたいにふくれた封筒をつき返した
そりゃあ、足りないのは僕の落ち度ではあるし
深夜勤務の彼にはちょうど今頃が
一番眠たいころだったのかもしれないけれど

仕方がないので封筒を開けて
この前君と晩御飯を食べたときに貸してもらった
8358円(小銭はセロテープでまとめてある)を取り出す
現金は困りますよと言いながら
局員はもう一度手紙をはかりに載せて
まだ駄目ですと封筒をつき返した

仕方がないので封筒を開けて
君に送る愛の歌特別編の原稿用紙12枚を取り出す
局員はもう一度手紙をはかりに載せて
まだ
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