親愛なる童話/砂木
 
でも
必要とされる時もあるのだ
好きでやっていた詩集作りも 無駄な趣味と
どこかで思っていたが そうでもなかった気になる

娘さんから直筆のメッセージも添えられていた
御父上に自分で書きなさいとでも言われたのか
二人で郵送準備をする姿を思い浮かべてみたが
メッセージの筆跡と 差出人の筆跡も違う

ああ 御母上も と私は納得
あくまでも私の妄想だけれど 三名の手作業で
郵便物となって 私まで届いたのだ
やるなあ さすが御父上 娘と奥様を従えて
いや 従わされているのか やるもんだなあ

すっかり楽しくなって 御父上が奥様あてに書いた詩とか
昔の詩集にありますよなどと
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