名前/よしたか
 


僕たちの世界にある
名前のないものに
たくさんの名前が
つきました
長い長い年月の中
たくさんの名前が
つきました
これから先も
たくさんの名前が
つくでしょう

それは軽はずみな業
それは工夫されたエンターテイメント
それは無謀な事故のように
それは反逆の湧き水のよう
それは捨て身の作戦のようで
ときには惨たらしい出来事の戒めと鎮魂
あるいは誰かへ贈る手編みのマフラーのよう
為すべくして
成すべく
指は示し
舌はまわり
名のないものは
名づけられていった

路傍の小さな石ころの歴史に
青海の鰯雲の柔らかな鱗に
国境なきあらゆる人物たち
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