/
風呂奴
海の向こうでは、薔薇色の銀河が焚き火みたいにバチバチ言いながら、大陸を鷲掴んでいた。雲を殺した空の青さが、水平線を抱きしめて、時間を止めながら空間のトーンを昼下がりのハープみたいにゆったりと落とした。狂ったギターとありふれた浜辺、具合の悪い喉を震わせながら、涙ながらにボヘミアンが風をだまして唄う海。雑に重なる前髪の様子が、その歌をひと際、魅力的に歩かせた。そして私はどこへも行かない。今日は休日であり、出来るだけ大地に足跡を残さなくて済む寡黙な祝祭だ。
戻る
編
削
Point
(1)