落日/ベンジャミン
 
人生の縮図を一枚の写真に托そうと
カメラを持ち出した午後

通い慣れた公園の道を黙々と歩いてゆく

木陰をなぞるようにしながら
景色に目を奪われることもなく 

いつしか長い上り坂の入口

見上げるように視線を注げば
頂上は遥かに遠い

坂道に背を向ければ
眼前に広がる落日の夕景に

おもむろにカメラを置きタイマーをかけ
今日の名残の日を浴びる 私に向ける

シャッターがおりるまでの十秒間

切り取られた一瞬の中
この落日を見つめ続ける自分は 
誰に何を語りたいのかと

ただ考えながら






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