こがね たなびき/木立 悟
 





一羽の蝶に
目を覚ます
わたしにはいかずちと
横顔に聞こえる


このかたちは
径のかたち
見おぼえのある
血の内のかたち


響きが響きを
外に追いやる
光は弱い風
一瞬の独りに笑む


何も無い場所に起こる土煙
とどく前に
持ち去られる音
青い青い 無言の午後


黄 黄緑 緑
ゆるやかな曲線
とどまることのないちからに
歯を当てる


夜が夜を撫でている
星のにおい
唾のにおい
径を浮かべる風のにおい


磨かれることのないうたが弦をころがる
廃園をわずかに照らし
声帯の失い星はすぎ
いかずちと横顔を連れてゆく


紙の壁が
砂にたなびく
背に血の粉を浴びながら
こがねは水の前に立っている

































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