祭壇/草野春心
 


  春の光が曇天を縫い
  硬い空気を細く通り抜けてくる
  すべては卓上に出揃った
  いくつかの瞳、
  いくつかの臓器



  毟り取られた数枚の花弁
  床に落ち埃の下敷きになる
  水道水が管を通り抜けてくる
  ぬるい
  銀色の夢
  わたしたちの



  時間は何時でも石塀のようだ
  今、そこには四角い穴が開いている
  春の風が草木と光の匂いをたっぷりと運んでくる
  死んでいるものへ向けてわたしたちは祈らない
  生きてゆくものへ向けてわたしたちは祈る
  瞑想が静かに通り抜けてくる
  灯される炎
  透明な祭壇
  あなたたちの



戻る   Point(6)