シャッター/片野晃司
 
、四秒、傘に隠れたふりをして校舎が)三秒、二秒、全力で閉じようとする校門をすり抜けようとして校舎が)踏みつけたらどうなるかな、踏みつけてみようかな)一、〇、ぐしゃっと音がして校舎が)起立して。もぐもぐして。ちゃんともぐもぐしなさい。もっとそこがよく見えるように)だからそのあたりを撮っても校庭しか写らないのだった)最後にはのどの奥からいわしの骨のひとつでも踊り出なきゃならない)最後には歯のすきまからアスパラの筋の一本でも這い出てこなくちゃならない)なにごともそんな具合に)あっちこっちで閉じ忘れた括弧をあつめて閉じて廻ってみたりして)結局のところそういうことにしておこうかな。



二〇十二年五月 詩誌hotel第二章

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