無題/風呂奴
 
昼下がりのあちこちで
残雪にめり込んだ風がある
そのうち一枚を手にとって
冬の毛先と春のしっぽをスケッチする

腐葉土は絵がうまかった
3月の冷たいキャンバスに
季節の終始を要約した

空から落ちてきた葉
空へと昇る芽
わたしの指先が追いつけない
老練な若さ

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