イタコを許す雰囲気/
瓜田タカヤ
しかける言葉により、感覚的にも
観念的にも身体的な意味でも、冷たく冷たく耐え切れないかも知れぬ寒さを
温めてくれる足しにでもなれば、また来年の春まで精神を維持できる妄想を
継続していられるからではなかろうか。
寒冷地。今日もごうごうと唸る風の音が
死体の声となってイタコらの唇に
積みあがるはずの無い言葉の炎を灯すのだ。
俺はこの土地で、家族が寝静まった深夜、
湯飲み茶碗に瓶ビールを注ぎ、寒いと言いながら
それを口に寄せた。
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