銀の筒、真鍮の壁、珪素の靴/竜門勇気
四月を前にして
雪を振れば風もふく
何かをごまかして生きるのは
つらいけど らくだった
夏までには
ダメになっちまおう
決意みたいな確信みたいな
淋しい独り言を路傍の草が聴いている
うつむいて歩く
下むいて嫌なことばかり
浮かぶ言葉の出来損ないを口の中で噛みながら
でもとりあえず
無駄に振り返ったりはしない
みんなが俺を
暗い野郎だって思っても
後ろ向きにはなってやんねーよ
やれないで できないで
うつむいて歩くのさ
真っ直ぐ前にうつむいてるんだ
人生のルールは加算だけ
乗算なんてほんとはないんだ
後ろ向きを後ろ向きでどうにかなんて出来ない
生き
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