Midori/月乃助
 

時となく
海しか生きる道はないと
誰もがアキラメルのに
あいつは、天へと想いを馳せた
けして夢などという 幻でなく、

だから、
俺は
恋をした 誰もがそうするように 思いのとどかぬさきの
その女は昔・・・








 明かりもままならぬ
海の底
赤子のときから
潮音のながれに 音符をみてあそび
琴をかなでた


運命(さだめ)と みなが歌声に
船乗りたちを 水へとさそうのに


 その琴の音は、亡き跡も
海の宮殿に 白亜の大理石の墓がふさわしいものの
荘厳さ


 月ごもりの夜
星の明かりをあつめ
岩礁は海
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