聞こえないうた/破片(はへん)
 
の厳しい、快晴の下、歌い出せないほど、
凍える唇で。

拙いから。描き出してやりたい。腹立たしい気持ちが、羨望に取って替わる。言葉の、ひどい乱用を、ひどい浪費を深呼吸で、鎮めてやりながら。

そののどを切り開こう
次にそこへ管を通す
青くない水をね、管へ注ぐ
管を通る水に空気の
泡がまざらないように、
大きな水そうの、円筒の、
真ん中だけを取り出して
水そうは、深い青 くらい青

聞こえないうた。
超低空で小さなセスナが飛び、
強く振れたブランコのつま先に
雲とまちがう色のはらがぶつかる
そうやってかき消された、
うたは、のどのおくへ、
注入されたひとしずく
真っ白で、光をさえぎれない
カーテンの、揺れる、無音に
大げさな注しゃくが、生まれて、
ぽちゃん、と。

/ともだちが消えてしまわないように
戻る   Point(24)