僕のパズルゲーム/中川達矢
 
あり続けることをやめ、
ボクになっていくしかない。

僕は、ぼくとボクを抱えた僕。
他人の数だけ、ボクはいるけれど、
ぼくは、僕の数しかいない。
けれど、この世界中で、
僕は何人いるだろうか。
ぼくは何人いるだろうか。

ぼくは、
波紋のように拡がっては、
排水口に吸い込まれるように萎み、
その伸縮を、
くりかえし、くりかえし、
1つの形にとどまることができない。
だから、僕は、
ひとりではどうしようもできない僕を鎮めるため、
ボクを探し求め、他人に救いを求める。
他人は、僕の一部でしかないボクしか見ないけれど、
そのことによって、
僕はボクになって、
ボクは僕になる。
ついには、ボクがぼくを僕にする。

あなたは、どの僕を見ますか。
ぼくでも、ボクでも、僕でも、
どうぞ、あなたの僕を僕にしてください。

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