最終回/平瀬たかのり
 
 いつもたくさんの洗濯物で
 満艦飾に彩られていた庭が
 屈強な男どもに踏み荒らされていく

 六畳間に上がりこんだ現場監督は
 うち捨てられていた円卓を
 作業靴の足でガンガン蹴りつけながら
 部下を叱りとばすのだ
 「こういうものは先に処分しておけと言っていただろう」


 おしゃまな妹とケンカをして泣かせ
 今日もこっぴどく叱られたのは
 いたずらばかりしている坊主頭だ
 舌ったらずのこまっしゃくれは
 若い父親の膝の上でご満悦
 慈母がみそ汁の鍋を手にいそいそやってくるとき
 美しき禿げ頭に威厳を光らせつつ
 家長は読んでい
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