チャップリンの友情賛歌 /服部 剛
 
暗がりの映画館で 
白黒のスクリーンには 
だぶだぶの燕尾服に
しるくはっとのチャップリン 

ふらりと現れた酔っ払いと 
ふとしたことから口論になり 
胸ぐらつかみ、胸押しあい、もつれ転がり 
よろおりと立ちあがるチャップリンは 
パッパと埃を手で、払い 
しるくはっとを地面に、叩きつけ 

互いのおでこをくっつけた2人の横を  
のったりと 
はげ頭の爺さんが、杖をつきつつ 
通りすぎていった―― 

「いかんな、熱くなりすぎた…」 

「すまんな、我を忘れちまって…」 

3分前には 
地面に転がりあっていた2人は 
いつのまにやら兄弟となり 
肩を組みつつ歌うのでした 

スクリーンの中から 
映画館の暗がりに座る、皆様へ 

               Fin 







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