丑三つ時/梓ゆい
 
待ち時間の最中

エンジンを止めた車の中で

ほっともっとの豚汁をすする。

イルミネーションを取り外した三鷹駅の北口

暗闇を恐れる人々が

路線バス・タクシーに飛び乗り

逃げ出しているかの様にも見えてくる。

「お待たせいたしました。回収をよろしくお願い致します。」

通話を切る私の胸にも

小さな孤独感が生まれ落ちて

終電間近の、ホームから降りてくるであろう死者の魂から

逃れて行く。。

「明日もまた、豚汁とチキン南蛮弁当を楽しみに終電間近の三鷹駅前に、停車をするのであろう。」

長い長い時間の最中

のぼりたつ豚汁の湯気に

『一息を求めるまま。』
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