「退屈が僕を殺す」/ベンジャミン
僕を殺そうとしている
生きていることを自覚しながら
生きることは難しい
退屈が僕を殺す
いまこうしているあいだにも
退屈が僕を殺している
少しずつ生きるのと
少しずつ死んでいくのは違う
僕は生きていることを自覚しながら
見上げた空に
言い訳にならない現実を探している
それはまだ自分が
少しずつ生きている側に
かろうじてしがみついているから
僕は殺される
自ら死を選ばないかぎり
そのために
足もとを見つめていた視線を
上へ上へと向かわせて
その空がいまにも泣き出しそうだったらと
そんな恐怖と向き合おうとするのだけれど
そういうときほど空は
悔しいほどきれいに見えてしまう
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