「退屈が僕を殺す」/ベンジャミン
単純なことほど難しく
複雑なことは解らない
無器用なことを言い訳にしながら
いま退屈が僕を殺そうとする
出来ることと出来ないことの境目には
いつも壁があるから
仕方なく空を見上げるんだ
そうしているあいだにも
退屈が僕を殺そうとしている
落ちようのない深さからようやく這い上がり
まわりを見わたせば数しれぬ落とし穴がある
恐怖を言い訳にしながら
退屈が僕を殺そうとしている
扉一枚はさんだ向こう側を知らず
届かない手のひらの隙間から
希望のような光が溢れてきても
それはあまりにも眩しすぎるから
いま退屈が僕を
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