二宮考/salco
 
くべきであった

 
横倒しになったロダンの「考える人」
彼は直腸検査を待つのだろうか。
それにつけてもミロのヴィーナス
世界で最も義手を要さぬ女。
その失われた両腕はヒト科を憂鬱にするが
それがある日地中から見つかるという想像にも
大概のヒト科は憂鬱になる。
美学の無い私は
盆を捧げ持つウエイトレスの直角の肘が浮かび
眉間の奥がへとへとに疲れる『ああ、嫌だこんな自分』。
あの像にはうんざりだ

あゝ観念、おゝ概念の雲垂れ込める
ヒト世界大気圧
その灰色ミストで終始霞んだ我が脳味噌
このクソめく重みから解放される時が生前に来るでせうかっ!


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