助手席専門家/朝焼彩茜色
助手席専門家 御嬢様ではない
サイドミラーはテクマクマヤコン
太陽の光が一番美しく顔を映す
助手席専門家 顔写真つきの身分証明書がない
飲み物をたまにこぼす 運転者に文句は言わない
されど気を使って頂きたいと女王の眉間のシワを寄せる
黄砂が終わる頃 洗車に行こうと提案する
運転者は白い車を眺めている
助手席専門家 自分の人生は自分で運転させている
長旅の帰りはシートたおして仮眠をする
寝心地の悪さを 運転者のせいにはしない
助手席専門家 教習所はこれからも縁遠い
なぜなら助手席専門家だから 御嬢様ではない
サイドミラーを羽に似せ 進む路を飛ばせてゆく
運転者を道づれに 文句なんていわせない 女王ではない
アタシは助手席専門家
流れる景色を運転者の何倍も楽しむ
お喋りも提供する 道案内はしない
アタシは助手席専門家 方向オンチは極めている自慢しない
アタシは助手席専門家 いつも運転者の隣にいる
何も不便はない 運転者といつも一緒に人生を運転しているから
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