震災の記憶/小川 葉
るくなった。終わったと思った。そしたら、家の電気がついていた。停電が復旧したのだ。しかしそれから、ガスはしばらくこなかった。その間に、何度か職場に出社した。ガスが通った。仕事も少しずつ、回復した。その間に、私は家で子供とよく遊んでいた。よい、機会だった。その間に、故郷へ帰ろうと考える、よい機会ができていた。
あの震災は、ふるさとの意味を教えてくれた。あの震災がなかったら、ふるさとの意義は今も曖昧だったことだろう。
あの時の記憶の延長に、今の私の意識がある。それは無意識に、今に続いている、と言ったら大げさかもしれないけれど、おもいかえせば、それはとてもきれいに、ここまで続いているのだ。かつてこのような、宇宙の自然現象を、感じたことはない。
それほど、私の人生にとって、大きな出来事なのであった。
震災の追悼とは、こうでなきゃならない。そう思いながら、あの時のことを、思い出していた。思い出したくもないけれど。
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