忘れても、忘れても、忘れられない日/komasen333
 

私たちはすべてを覚えておくことはできないから
調子のいい話でも
世界は一つであるかのように
世界は一体であるかのように
毎年、この日を迎えていく。


どんなに忘れないようにしても少しずつ忘れていくから。
どんなに覚えていても
都合の悪いことは忘れ、都合のいいことばかり覚えていくから。


あの日を
過度な悲観に染めきった記憶にしないためにも。
あの日を
過度な楽観に染めきった教訓にしないためにも。


忘れてはならないことを徐々に忘れていく私たちは
忘れても構わないことをずっと覚えていてしまう私たちは
この日が来るたびに思い出す。この日が来るたびに語り合う。


調子のいい話ではあるが
そうやって私たちは
忘れてはならないことと
覚えておかなくてもいいことを振り分けていく。


生きていくために。
生かしていくために。
活かし続けていくために。
忘れても、忘れても、忘れても、忘れないために。

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