啓蟄 (けいちつ)/nonya
 

光に導かれるままに

出口はあった
想いは許されたのだ

温み始めた暖色の風に
思わず弛んだ口元から

ぽこっと

顔をのぞかせた想いは
華やいだ光の中へ
もそもそと泳ぎ出した

泳いでいるうちに
想いには色がつき
想いは景色になり
想いは季節になっていった

向こう岸の誰かの耳元に
泳ぎ着く頃には
想いはおそらく
言葉になっているだろう



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