セプテンバー山男/カンチェルスキス
面接官は一重の目で
おれを見つめ
何も言わなかった
机にある採用チェックシートの上の宙を
ボールペンがせわしなく回転する
肌寒い頃だったが
秋だかまだ冬明けて間もない春先だったか
忘れた
吐く息は白かった
そしておれの懐はさびしかった
労働が素晴らしいことのように言うのを
耳にする
あんなものは何もせず暮らすすべを知らない知恵のないやつらが
しょうがなくやってるだけのことだ
尊いだとか人間的成長を促すだとかは
嘘っぱちで
働くことでやつらは自分が何の知恵もアホだと
証明してるに過ぎない
やらないで済む
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