毒/
草野春心
毒は出ていった
二階の部屋の窓から
小さくてかたい何かが
机にしまわれる音をのこして
ゆうべの雨がつくった
川になりきれぬ、ささやかな
水の流れをわたってゆく
一頭の小象になって
きつく抱きしめるように
泥がわたしの足を覆う
今、
輝いていない場所は
この世界から消え失せた
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