希望の芽/服部 剛
 
石巻の仮設住宅に住む 
Tさんに新年の電話をした 

「あけましておめでとうございます 
 今年もよろしくお願いします  」 

「いよいよ来月から 
 津波に流された場所に、もう一度 
 新しい家を建てるんですよ…  」 

「それは良かった…そうですか」 

「物資の不足でいつ完成か、わかりませんが 
 (蝸牛、のたりのたりと、富士の山)と 
 誰かが詩(うた)った感じです         」 

「被災された経験者の言葉ゆえに… 
 (希望の芽)の大事さを感じます」  

「お盆の頃に建つかもしれないので 
 ぜひ来てくださいね…     」 
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