遠吼え /服部 剛
 
ある日、届いた封筒から取り出した紙は 
「わんニャン展」のお知らせで 
三日後にみなとみらいの地区センターの 
展示会場に入るや否や 
平日の人もまばらな空間に 
木霊(こだま)する…無数の悲痛な鳴声達 

私が吸い寄せられた 
一枚の写真は 
人間(ひと)のいない福島の村 

――黒犬は、瓦礫の山の頂で 
  消えた主人を今日も呼ぶ―― 







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