亀のいちばん長い日/夏美かをる
 
変だからきっと皆に笑われる」と返してきた
「そんなことないよ」とすぐに言ってやれば良かったのだろうが
咄嗟には出てこなかった
確かに亀の喋り方はかなり舌足らずだ
DVDを見たクラスメートが思わず笑わないとも限らない
なにせ彼らはまだまだ自然体で生きてる小学三年生なのだから…
助け舟を出したのは二歳年下の妹
「笑う子はそっちが悪いんだから
亀ちゃんもそう思えばいいの!」
その言葉にはっとして
「そうだよ、そうだよ、亀ちゃん!
笑う子の方が悪いんだから
もしも笑われても気にしなきゃいいんだよ」
とやっと取り繕った

翌朝涙を溜めながらスクールバスに乗った亀を見送り
そわ
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