夜明けを束ねる、ろうそくをくぐる/みい
 
ヘッドフォンの耳の内側、ぐらりとゆれた電車では
わたしはとっくにバランスをとれないで
一本の細っこいろうそくに似せて
ずるり、とけていくふり

とけたろうそくの
土台はやっぱりケーキでしょ
もっととけていなくなれたら
今度はトウメイニンゲンになって
ケーキおなかいっぱい食べる
のね、

ゆめ


つり輪を持ったまま
わたしの視界のみんなはとけてゆく
あのサラリーマンの人も
高校生のカップルも
子供のプレゼントをもつお母さんも
ぼんやり
みえなくなって

ふっ

あかりが消える、みんなに
なまえを
つけてあげる、
夜、夜、夜、みんな
おんな
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