マスクマン/赤青黄
救急車が過ぎ去った後で、
町行く人々は不思議に思うのだった、
なぜ、あれほどまでに抵抗していた男が、
今日に限っておとなしく他に従ったのか、
*
男は車内の中で延々とうなり続けていた。
「○○さん!聞こえますか!○○さん!」
救急隊員の呼びかけに応えることはせず、
男は延々と深呼吸を繰り返していた。
〜〜、〜〜、。
サイレンが鳴り響く救急車の中は
ひどく静かだった
男の呼吸音ばかりがけたたましく車内を駆け巡り
男の呼吸音だけがこの車内の、いやこの世界の空間の音を
支配していた、
すると、
後部座席に
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