おかあさん/和田カマリ
いカルピスを運ぶ
その時、色素沈着した浅野温子が
髪の毛の臭いを嗅いで欲しいと
ひそひそと耳元でせがんで来た
なんだ結局は色仕掛けか?
そういう事ならばと僕は
皺っぽい浅野ゆうこを抱いた
どっちでも良かったのだ
福くんは意外性に万歳して叫んだ
「そうなの!そっちがおかあさん。」
ラベンダーのムセルヨウナ香りが
熟した雌の肉の臭いに混ざって
僕の罪を覆い隠して行くようだった
ああ耳垢をほじってくれないかな
モヨオシナガラ眠ってしまった僕 + +
+ + 目覚めると格子戸を潜り抜け
夕焼け空を見上げていた
誤認逮捕のお詫びにと
浅野温子が千歳飴を
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