デフレ不況時代の二大スター/小川 葉
何なのかを、その哲学において完成させたのである。
もし今が、長島や王の時代だったなら、おそらくイチローは、とにかく塁に出て、盗塁して、そうして満を待して、王がホームランを打つ、逆転サヨナラ、という物語における、単なる脇役だったのかもしれないのだ。
その立ち位置を、時代を上手に読み取って、逆転させたのがイチローで、佐藤可士和のデザインだと言えるのである。
ホームランを打つための、予算(力)はない。そこを逆手に取って、だからこそ出来ること、そこに価値を見出し、ホームラン以上の対価を得ること。
それがデフレ不況時代のスターになるための、条件だったのではないだろうか。実際、
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